住宅のプロの私が“旧耐震”の中古マンションを選んだ訳
こんにちは!WAKUWAKUリノベーションマガジン編集部です!
本日は、中古マンション購入時に気になりがちな、旧耐震基準住宅の耐震性について記事にさせていただきました。
新耐震基準と旧耐震基準の違いから、住宅のプロの私が新耐震ではなく地震に弱い“旧耐震”の中古マンションを選んだ理由までを、詳しくご紹介したいと思います!
目次-contents-
中古住宅を購入してリノベーションするのが流行っているけど、『中古でも“耐震性”って大丈夫なの??』
中古+リノベーションは、リーズナブルにオシャレで自分好みのデザイン空間に住むことができる人気の住宅購入方法ですが、
『中古でも“耐震性”って大丈夫なの??』
『中古マンションって、建物は新築から何年持つの??』など
気にされる方が多いですね。うんうん、その点は気になっちゃいますよね!
このコラムを読んでいる方々は、お住まい探しをされている方が多いので
- 建物には現行の“新耐震基準”で建てられた建物と、それ以前の“旧耐震基準”で建築された建物がある。
- 新耐震基準で建てられたマンションは旧耐震基準の建物より地震に強い。
こんな知識をお持ちの方が多いと思います。
私も昨年住宅を購入し、中古マンションにリノベーションを施し住んでいます。
この住宅・不動産業界に12年おりますので、この新耐震・旧耐震の話はもちろん理解しておりますが、購入したのは、築35年の“旧耐震”マンションです。
私の周りの住宅のプロは何も驚かないのですが、それ以外の方々と見学会や座談会でお話する機会があると、
『なんで住宅業界の人が“旧耐震”住宅を買ったの!?』と興味深々に聞かれます。
ではではその辺りお話ししていきましょう!
あ!コラムの一番下にも書いてあるのですが、一応断っておきますね!
この記事には、私の考え方や判断がふんだんに盛り込まれています。
これが正解!というものではありませんので、皆様の選択の参考にしてください。
まずは“新耐震”と“旧耐震”をもう少し詳しくお話しします。
耐震基準は、関東大震災の次の年、1924年(大正13年)に、世界に先駆けて日本で定められた『建物が地震の震動に耐え得る能力』を定める基準です。
その後1981年(昭和56年)に耐震基準が大きく改正され、新耐震基準が生まれました。わかりやすく言うと、こんな基準です。
◎旧耐震:震度5程度の地震に耐えうる住宅
◎新耐震:震度6強以上の地震で倒れない住宅
基準は上記のとおりですが、
旧耐震が震度6の地震を受けたら100%倒壊するわけでも
新耐震が震度7の地震を受けたら100%倒壊するわけでもないという事は押さえといていただきたいですね!
新耐震基準の適用は、『1981年(昭和56年)6月1日』以降に建築確認(※1)を受けた建物です。上記の期間より後に『完成』した住宅ではありませんのでご注意くださいませ!
(※1)建築確認:建築主は、建築予定の建物が法令に適合した建物か審査を受けます。
予算はなかなか変えられない!どこに予算をかけようか??
ここからは、お住まい探し中に考えた事、実体験をお話しさせていただきます。
さて、先述したように私は中古マンションを買ったわけですが、
不動産って相場があるので、
- 駅に近づくと、価格が上がる。
- 部屋が広くなると、価格が上がる。
- 陽当たりが良くなると、価格が上がる。
- 築年数が新しくなると、価格が上がる。
価格が上がる、価格が上がる、上がる、上がる、上がる、上がる・・・・
と、求めたら求めただけ価格が上がるのはご存じだと思います。
頭金や月々住宅に費やせる金額は、なかなか変えられないので何かを選ぶと、何かを諦めなければ、家はずーっと買えません。
私たち家族は、一戸建てとマンションを比べると漠然とですが、『マンション派』でした。
日頃から家に階段があるのってメンドクサイなーと思っており、仕事の事を考えると駅から10分くらいの立地が良いとも思っていました。
また、住宅購入の予算を『月々の支払い希望額』から逆算して、物件価格3,000万円くらいで考えていたので、
『横浜市内で徒歩10分一戸建て。予算は3,000万円』
⇒『相場的に3階建てになる』
⇒『玄関で忘れ物に気づいて、3階の居室に取りに行く生活』
・・・・無理だ!と夫婦そろって同じ意見だった事も大きいです!
そういうこともあり、マンションに絞って探し始めた訳ですが、リノベーションにお金をかけて雑誌に載っているような、オシャレな空間で過ごしたいとずっと願っておりました。
3人家族で大きさもそれなり、駅から徒歩10分、陽当たりもまぁ、そこそこは欲しい。と条件を整理していくと、“築年数は古くても構わない”という価値観が、物件価格の高騰を抑えるポイントでした。
住宅業界で働いているので、“旧耐震”と“新耐震”の話は気にはしてみたものの、
それを気にし始めると我々家族の価値観では割とどうでもいい『築年数』という考えを新しくする必要があり、その対価として、重要な『リノベーション』費用を削り、それに伴ってつまらない空間なってしまった家に我慢して住んだり、駅と家の距離が遠くなり、毎日その距離を往復しなければいけない生活を強いられる事に気づきました。
でも、築年数が新しい方がなんとなく安心な気はする。。
もう少し、生活を切り詰めて予算を伸ばそうか・・。
そこで、私は気づいたのです。
あれ?人生のリスクって『地震で家が倒壊する事』だけだっけ??
耐震性を上げる=購入する物件の築年数を新しくする=月々の支払が上がる、です。
そもそも人生のリスクって『地震で家が倒壊する』事だけだっけ?
住宅購入を検討すると、『住宅購入』というカテゴリ内だけで、あれがリスク、これがリスクと考えがちです。
購入する物件の築年数を下げ、地震のリスクを軽減する為、住宅にかける月々の支払額を上げるのも選択肢の一つ。しかし『地震で家が倒壊するリスク』よりも、もっと身近な子供の学資保険や、我々夫婦の医療保険など、気にしなくちゃいけない人生のリスクや、お金をかけなくてはいけない事があるのではないか??と思いました。
月々出費できる金額は、どのご家庭も決まっております。
何に費用をかけるかは、人生全体の事を考えて選択しなければいけません。
それぞれの価値観で、自分の読みや判断に対して費用を投下し、いろんなリスクを軽減したり、人生を楽しむことが大切だと思います。
限られた予算内で、地震で家が倒壊するリスクを低減、安心して暮らす事もできますし、同じコストで毎月家族で出かけて、子供に楽しい思い出を作ってあげることもできるのです。
これから住宅を購入される方には
『地震で家が倒壊する』ことだけが人生のリスクではないので、もっと他にお金をかけたいこと、かけた方が良い事は本当にないか、お考えになってから住宅購入をしていただきたいと思います。
ちなみに、余談ですが、私はこの問題を抱え、
『あ、じゃあもう少しお金を貯めてから新耐震のマンションを買って、リノベーションをかけよう!やっぱりいつ大きな地震が来るかわからないもんなー』と築30年の木造アパートで、何年も貯金をする計画していました。
今思えば、本当に冷静ではなかったと思います。
築30年の木造アパートと、築35年の鉄筋工コンクリート造のマンション。明日来るかもしれない大地震に対して、いったいどっちが安全なのでしょう。。
とは言え、ローコストな旧耐震物件に飛びつくのは危険です。
旧耐震物件の中にも、相当強い建物もあれば、構造上弱い作りの建物もあります。この辺りは、専門知識が必要なので、中古住宅の扱いに強い『中古+リノベーション』に特化した会社に相談する事をおススメいたします。
私が購入した旧耐震の物件は、こんな物件でした。
- 4階建ての低層マンション
- ワンフロアに10戸以上連なっている横長のフォルム
- 上階に住む方が『東日本震災』でもびくともしなかったと言っていた
という理由から、購入を決断しています。
ティッシュ箱を立てた状態と、いつも通り寝かせた状態、どっちが倒れやすいかを考えれば、どんなマンションが地震に強いかわかりますもんね!
③は、感覚の問題なので鵜呑みにはしませんでしたが、あまり揺れを感じなかったことはきっと事実でしょう(笑)
上記の条件がそろっても、エントランスがピロティ(吹き抜け)になっているなど、様々な条件で、耐震性は変わります。中古物件をお探しの際は是非、専門知識のある会社にご相談くださいませ。
中古マンションを購入するときのもう一つの心配『マンションって新築からいったい何年持つの!?』については、別のコラムにてご紹介しております!
⇒中古マンションの寿命は何年?実際の耐用年数を専門家に聞いてみました
ここまでコラムを読んでいただいた皆様、本当にありがとうございました!
またお会いしましょう!
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