【リノベ | インタビュー】家具もTVも「好きな場所」で「好きな時」に。自由が続く、自分だけの空間

[記事更新日]2020/08/17

今回お伺いしたHさん邸は、かつて住んでいたニューヨーク・ブルックリンの住まいのエッセンスを取り入れたインダストリアルスタイル。クールモダンな雰囲気が漂うおしゃれなご自宅です。

ご自身のライフスタイルを徹底的に体現した間取りは、オリジナリティに満ちたものでした。
一歩踏み入ればまるでニューヨークのマンションのような空間は、インダストリアルスタイルをしたい方は必見。

そこで今回はHさんに、こだわられた部分やリノベーションの魅力などについてお話を伺いました。

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「家賃を払うなら持ち家にしよう」思い立って購入を決意

Hさんの家造りは、一言で表すならば“思い立ったら吉日”。以前から計画していたわけではなく、ご本人曰く「ノリだった」とのこと。

「以前は賃貸に住んでいましたが、1R+ロフトという間取りで手狭に感じていました。漠然と『同じくらいの家賃にするなら持ち家にしたほうがいいな』とは思っていて、周りからも同じように言われていました。でも、どこかいい所があれば買おうかな、というくらいで、本格的に探してはいませんでした」

試しにどんな物件があるのか見てみようと思い、行ったのがBeatHOUSE。

「私がよく行く飲食店の近くにあって、前々から『かわいいお店だな』と思っていたんです。不動産屋さんと知ったので見てみようと思い、いつものお店に行ったついでに伺いました。家賃の金額くらいのローンで家を持てたらと思っていたので、自然な流れで中古物件+リノベーションが選択肢に入ったという感じです」

家というよりも“自分の部屋”に近い空間

お仕事の関係で二拠点生活をされているHさん。こちらに引っ越される前もご実家とご自身の住まいを行ったり来たりの毎日でした。

「私の生活は一般的ではないのですが、実家には親と子どもが住んでいて、私は別に暮らしています。仕事が夜勤なので、夕方出て朝仕事が終わったらその足で実家へ向かって、子どもたちの朝食の準備をして、そのまま学校へ送りに。それから自宅に戻って自分の時間を過ごすというのが私のライフスタイル。なので、この家も子どもたちと住む家ではなく、自分だけが過ごすための場所。一人で過ごすことが多いので、家というよりは別邸という感じですね」

家族との時間・自分の時間を両立するため、物件に求めた条件は実家に近いことでした。こちらの物件はHさんがご自身で見つけた団地。BeatHOUSEに内見を頼んで連れてきてもらったとのこと。1件目で見て決められました。物件の決め手は何だったのでしょうか。

「実家から近いことはクリアしていたし、周辺環境も静かで良かった。それに日当たりも良くて、入った瞬間に明るかったのも印象が良くて、すぐにいいと思いました。古い物件だけど、環境や立地にはかえられないと思ったのが決め手ですかね。念のためもう1件も連れていってもらいましたが、やっぱりここがいいと再確認して、ここに決めました」

オーダーは「扉のない四角い部屋」

Hさんのご要望は「扉のない四角い部屋」。そのベースには、掃除がしやすいことがありました。

「掃除が好きで、常にきれいな状態を保てる家にしたかったんです。掃除がしやすいということは、物があまりない状態。物が少ないということは、部屋に押入れなども必要ないと思ったんです。そう考えていくうちに、建具も何もない四角い部屋が自分に合っているとわかりました。四角いと、グルグルと回われば掃除ができるし、しかも楽。好きな掃除を基本に逆算していったら、そんなオーダーになりました」

掃除がしやすいことと、あまり荷物を持ちたくないことから造り付けの収納スペースもカット。Hさん邸のもう一つの特徴は、ドアがないこと。

「ドアも付けたくなかったんです。玄関以外であるのは浴室の引き戸のみ。あとは全て開口部を設けているのみです」

インダストリアルスタイルをつくり出す天井・床

テイストはインダストリアルスタイル。モノトーンでカラーコーディネートしたかったので天井・床はグレー、壁は白で統一しました。

テイストづくりにおいて天井と床はとても重要!
天井はインダストリアルスタイルの定番・モルタルを塗りました。化粧板を取り壊し、断熱材の上にモルタルを塗って無機質な印象に。

ラフな感じがご要望だったため、きっちりとていねいに塗らず、少しムラがある感じに仕上げています。

床もインダストリアルスタイルの雰囲気そのものの無機質な建材を使用。モルタルと思いきや、外壁用のパネルを床材として使用しています。

「本当はモルタルにしたかったんですけど、予算的にオーバーしたのと、モルタル床だとどうしてもヒビが入ってしまうと言われたのでモルタルはやめることに。そうしたら担当の方がこちらを提案してくれました。同じグレーだし天井のモルタルにも合うし、好きな感じだったのでこれにしました」

使い勝手・通気性抜群の土間クローゼット

玄関を入ってすぐ左にあるのが土間クローゼット。もとは洋間でしたが、大胆にも土間にチェンジ! 身支度をしたらそのまますぐに出られるようにと、土間とクローゼットを一体化しました。洋服はお店のようにハンガーかけて並べて収納。靴も直置きするアメリカンスタイル。押入れは壊し、壁付けのハンガーパイプと、もとからお持ちのラックで収納しています。

「以前ニューヨークに2年ほど住んでいたんですけど、あちらは日本みたいな押入れなどの収納部がなくて、すぐに着られるようにかけてあるのが普通。すぐに選んで着ていけるようにこのスタイルにしました。押入れやクローゼットは湿気がこもりやすいのが嫌だったので全部取り壊しました。土間兼ウォークインクローゼットだから、窓を開ければ空気の入れ替えができるので楽です」

クローゼット以外にも洗濯物を乾かしたり、ご友人が泊まりに着た時はアウトドア用のベッドを出して寝室にしたりと、さまざまなシーンに合わせて対応できる空間です。

「玄関から下駄箱を取って空いたスペースには、掃除道具を入れたロッカーを設置しました。基本的に収納は家具で済ませています。もとから好きな家具のブランドあって、収納はそれを使いたかったんです。インテリアでもファッションでも、暗めの色の中にポイント使いでヴィヴィットカラーを取り入れるのが好きです」

地べたでくつろげるのびのびLDK

リビングは掃除がしやすくてゆったりとくつろげる空間をご希望だったので、和室を取り壊して開放感あるLDKにしました。寝室部分にもあえてドアを造らず、全体的に一続きになる空間に仕上げました。LDK・寝室も収納スペースは全て取り払っています。

「床に直接座って過ごすのが好きなんです。なのでダイニングテーブルを置きたくなくて、地べたで過ごせるスタイルにしました。押入れなどの収納部もないので、冬用の布団などはソファのセンターテーブルとして使っているトランクに詰めています。極力物を持ちたくないから、最低限のものを手持ちの家具で収納したかったんです。デニムと明るい色味が好きだから、それらがアクセントになる空間にしました」

そのままでは冷たい印象になるインダストリアルスタイルも、インテリアによって遊びココロ溢れるこなれた空間になります。家具で空間にメリハリを付けたい方には、インダストリアスタイルのようなモノトーンな空間がオススメです。

寝室にあるのはベッドのみ。収納スペースを取ったのは、ベッドをいつでも動かせるようにしたかったからだそう。レイアウトも常に自由に楽しみたいとのこと。

「うちにはテレビがないんです。見るときは番組をプロジェクターで壁に映し出しています。ブルーレイレコーダーをチューナーとして使っているので、それさえあればテレビがなくても視聴可能です。プロジェクターにしたのは、そのときの気分で見る位置を変えたいから。ベッドも今日は部屋の中央に置いてありますけど、端にくっつけるときもある。いつでも自由にレイアウトしたいんです」

照明もシンプルなシーリングライトをメインに、好みで取り付けられるダクトレールを設置しました。

「ドアがないからリビングの窓からの光で十分明るいんです。なので照明も今は必要な分だけ取り付けています。ダクトレールはプロジェクターを映し出す場所によって動かせるように取り付けました」

タイルがこなれ感を演出、シンプルなステンレスキッチン

キッチンはインダストリアルスタイルで人気のステンレスキッチンを設置。埃がたまらないように掃除のしやすさを考えて、シンク下収納のないシンプルなものを選ばれました。あえて見せている配下やダクトがまたおしゃれな雰囲気。

「打ち合わせ当初はキッチンを緑にするつもりでした。でも、全体的に白とグレーで統一しているから、やっぱり白にしたほうがいいなと思って。同じ白でもタイル壁にしてメリハリをつけました」

キッチンと合わせて、洗面所もステンレス。こちらはキッチン専用のものですが、水場は統一しようと思い、同じステンレスのものにまとめられました。

インダストリアルスタイルに欠かせない、あえての露出

インダストリアルスタイルで多いのが、あえてのダクトやケーブル、配管の露出。これらを無骨にしないポイントは色使い。黒に塗り直して、グレーと白の空間のアクセントになっています

「日本ではダクトやケーブルを隠しますけど、ニューヨークで隠しているところはほぼなかったですね。あえて見えているのがかわいいと思ったので、私もそのままにしました。昔ながらのいかにもって感じのグレーのダクトは、アイアンっぽい感じにしたかったので黒に塗り直してもらいました統一してもらいました」

四角い部屋にしたのはもう一つの理由

四角い部屋にしたのは、もう一つ理由がありました。

「シンプルな間取りなら将来子どもが一人暮らしをするとなったときに好きにできるし、貸し出したときも住む方の好みでカスタマイズできる。そういったことも加味すると、四角い部屋は融通がきくと思ったんです」

自分以外の誰が住んだときや将来貸し出す可能性を考えた上でも、四角い部屋はやりやすいと思ったとのこと。リノベーションをするときにそのような視点を踏まえて設計をする方も多いです。

理想の家を造るためにしたことは?

ご自身のライフスタイルにぴったりの家を造られたHさん。どのようにイメージを固めたのでしょうか。

「特に誰かのご自宅を参考にしたり、SNSをたくさん見たりとしていたわけではないのですが、画像検索はしていましたね。あとは自分で『こんなインテリアがいいな』と思うものをノートに描いていたかな。それを見せることはなかったですけど、ちゃんとイメージが伝わるように説明しました。あとは一日の過ごし方もお伝えしました。こういう風な毎日で、家にいるときはこんな風に過ごしている、とか」

Hさんのレイアウトはお持ちの家具ありきのもの。設計の打ち合わせ時も、各箇所と照らし合わせながら自分のイメージや置く家具の色をお伝えしていたとのこと。

「最初からこうしたいっていうイメージをお伝えしたいのもあって、担当してくださった方も私の好みを把握してくれていました。なので、要望のものを使うのが難しいとわかったときも、私の好みそうなものをご提案してくれて、そのまますんなりと決まりましたね。細かくいろいろ伝えることが家造りのポイントだと思います」

最後に、これからリノベーションをする方へメッセージ

中古物件+リノベーションを検討されている方にメッセージをいただきました。

「自分の好みを反映させるなら、リノベーションはとてもいいと思います。新築は建てるとなると土地が狭いことが多いと思うのですが、中古物件は今と比べて立地や占有面積の条件がいいときに造られたもの。なので広さが欲しい方には中古物件はお勧めだと思います。あと、予算内で決められるのもリノベーションのいいところ。住宅ローンの月額を決めて、それに収まるように自分で調整することができるのはいいと思いますね。予算内で自分好みの納得できる家を造れるのがリノベーションの魅力だと思います」

リノベーションだからこそできる、制限のない間取り

今回お伺いしたHさま邸は、一般的な概念にこだわらず、ご自身のライフスタイルを反映した間取りとなりました。収納スペースをなくしたりドアを取り除いたりとあまりない設計ですが、リノベーションの魅力は自由な発想のもと家造りができること。ご自身の予算内でカスタマイズできるのが魅力です。中古物件+リノベーションだからこそ、どんな設計もテイストも躊躇せずにできます。


この記事の情報を用いて行う行動に関する判断・決定は、利用者ご自身の責任において行っていただくと共に、必要に応じてご自身で専門家等に相談されることを推奨いたします。弊社は、当記事の情報(個人の感想等を含む)と、この情報を用いて行う利用者の判断について、一切の責任を負うものではございません。

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