ポストに詰め込まれる不動産チラシの「NGワード」ご存知ですか?

[記事更新日]2017/04/27

ポストを開けると溢れ出る、新築マンションのチラシ、中古戸建てのちらし、注文住宅のTIRASI・・・。

時には「なんでそこまでして詰め込むのか・・・」というほどに、パンパンのポストに無理やり突っ込まれているマンションや戸建てなどの不動産チラシに苛立つ人は多いのではないでしょうか?

そのデザインは様々で、とにかく文字が目立つような厳ついものや、まるでCGのようなきらびやかなものなど、色んなチラシがあると思います。しかし、この好き勝手作っているような不動産チラシに「記載してはいけない情報」「記載しなければいけない情報」など、厳密なルールや法律が存在することはご存知でしょうか?

ここでは、そのような不動産広告にまつわる取り決めや「NGワード」をご説明していきます。

目次-contents-

マンションや戸建ての不動産チラシで禁止されていること

不動産チラシなどの広告を規制しているルールには、大きく次の3つがあります。

  • 宅地建物取引業法(宅建業法)
  • 不当景品類および不当表示防止法(景表法)
  • 不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)

それぞれに、それはそれは細かいルールがびっしりと定められています。

そんな細かいルールを知ってもあまり意味はありませんので、ここでは覚えておいて欲しいルールを抜粋してご説明していきます。

宅地建物取引業法(宅建業法)で定められている不動産チラシのルール

宅建業法の第32条では、下記の要件に該当する誇大広告が禁止されています。

  1. 物件の所在
  2. 物件の規模
  3. 物件の形質
  4. 環境の(現在・将来の)利用の制限
  5. 環境の(現在・将来の)交通その他の利便
  6. 金銭の代金・借賃等の対価の額、支払方法
  7. 金銭の代金・交換差金に関する金銭の貸借のあっせん

誇大広告とは

商品やサービスの内容・価格などが、実際のものより優良または有利であると消費者に誤認させるように表示した広告。

を指しますが、これだけ見ただけではいまいちピンとこないでしょう。

いくつか例を出しますと、次のような広告はNGとなります。

  1. 物件の所在⇒『駅まで1㎞の好立地!』(実際は駅から直線距離が1km)
  2. 物件の規模⇒『業界初!他に類を見ないリビングの広さ!』(この場合は、その地域の他社の実績や地域全体の取引実績等を客観的な調査手法で実証されているデータが必要)
  3. 物件の形質⇒『震度7の地震でも絶対に倒壊しません!』(客観的に実証することはまず不可能)
  4. 環境の(現在・将来の)交通その他の利便⇒『近くに新駅が近々開通予定!』(路線運営会社から公式な発表はなし)
  5. 金銭の代金・借賃等の対価の額、支払方法⇒『仲介手数料0円物件有り!』(実際に仲介手数料が0円になる対象物件はごく一部)

これらを違反をすると、罰金(6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金など)や懲役になります。また、これらの規制は広告の媒体は問われていません。つまり、テレビ、ラジオ、ネット、新聞、雑誌、チラシ等すべての媒体が規制対象になります。

不当景品類および不当表示防止法(景表法)

不動産の取引において、消費者を誘引する手段として行う以下の表示は不当表示となります。

  • 実在しないため、取引できない不動産についての表示
    (例…実在しない住所・地番を掲載した物件)
  • 実在するが、取引の対象となり得ない不動産についての表示
    (例…売約済みの物件)
  • 実在するが、取引する意思がない不動産についての表示
    (例…希望者に他の物件を勧めるなど当該物件の取引に応じない場合)

不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)

不動産の表示に関する公正競争規約は、消費者保護を目的として、不動産業界が自主的に定めた不動産広告のルールで、不当景品類及び不当表示防止法の規定に基づき公正取引委員会の認定を受けています。具体的には、消費者が正しく広告内容を理解できるよう、広告表示の開始時期の制限や広告表示の詳細な基準等を定めています。

この表示規約の改正作業や、表示規約に違反した不動産会社への警告などを行なっているのは、全国各地に設立されている「不動産公正取引協議会」です。

不動産公正取引協議会で公表されている、不動産広告のNGワード(一部抜粋)

完全、完璧、絶対、万全、完全無欠、百点満点、パーフェクトなど

これらは全く欠けるところがないこと又は全く手落ちがないことを意味する用語です。

これらの用語は、物件の品質又は役務の内容が完全無欠である、あるいは役務の提供方法に全く手落ちがないことなどを意味するものですが、現実にはこのような状態にあることはとても難しいと思います。しかも、「完璧な施工をした」とか、「震度7の地震でも絶対に倒壊しません」など、客観的に実証することはまず不可能でしょう。

日本一、日本初、業界一、超、当社だけ、他に類を見ない、抜群など

これらは競争事業者の供給するもの又は競争事業者よりも優位に立つことを意味する用語です。

例えば、「当社は、○○エリアの仲介取扱い実績は平成○年度第1位です!」等と表示する場合は、その地域の他社の実績や地域全体の取引実績等を客観的な調査手法で実証されている必要があります。

特選、厳選など

これらは一定の基準により選別されたことを意味する用語です。

物件の品質内容についてまったく判断せず、ただ単に価格が周辺相場に比べて安いというだけで、再建築ができない物件や著しい不整形地である物件などのマイナス評価を無視して「特選物件」と表示するのはNGです。

お買得、格安、破格、激安、バーゲンセールなど

これらは著しく安いという印象を与える用語です。

これは表示内容を裏付ける合理的な根拠を示す資料を現に有している場合であっても、その該表示内容の根拠となる事実を併せて表示する場合に限り使用することができます。
そして一般的に、価格や賃料は市場によって決定されるものであり、他の類似物件に比べて著しく安い価格・賃料で供給されることはまずあり得ません。

どんな商品であっても、相場よりも著しく安いものは必ずその理由があります。偽ブランドや傷物である場合は、たとえ安くとも価格に見合った(場合によっては高すぎる)価格であって、「格安」「激安」ということにはなりません。

まとめ

いかがでしたでしょうか?不動産は比較的価格の大きな買い物ですので、そのチラシにも様々な制限があります。上記の例はほんの一例に過ぎません。

しかし、不動産会社が独自に作成する簡易なチラシや、ブログなどの自由に書き込むことができるホームページなど。これらは第三者の目が行き届かないぶん、制限された用語が不適切に使われることが多くあります。

みなさんの周りでも、「あれっ?これ、言い過ぎなんじゃない?」と思ったものなどは、上記のようなルールを違反しているかもしれません。うまい話には、必ず裏があります。是非気をつけて考えてみて下さい。


この記事の情報を用いて行う行動に関する判断・決定は、利用者ご自身の責任において行っていただくと共に、必要に応じてご自身で専門家等に相談されることを推奨いたします。弊社は、当記事の情報(個人の感想等を含む)と、この情報を用いて行う利用者の判断について、一切の責任を負うものではございません。

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