マンション買って住むなら知っておきたい法律・規約・細則

[記事更新日]2017/09/04

マンションリノベーションをご検討の方、区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)というのをご存知でしょうか。今回の記事では、この区分所有法と、各管理組合(マンション)ごとに定められている管理規約・使用細則について、リノベーションという点からそれぞれの内容とポイントをご紹介したいと思います。

目次-contents-

区分所有法とは?

分譲マンションにおいては、各住戸部分を各区分所有者が単独所有することになりますが、住戸部分、つまり専有部のほかに躯体部分や壁といった各区分所有者の単独所有とすることができない部分、いわゆる共用部分というものがあります。

専有部は相互に密着しているため、相互の権利関係を調整する必要があります、また建物およびその敷地等共同して管理する必要があるため、それらについて区分所有法という法律が定められているのです。

例えば、躯体やエントランスホールなど「法定共用部分」と呼ばれる部分は、いかなる手段・方法を用いても専有部分に変更することはできません。

また、区分所有者は、建物の保存に有害な行為や、区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならないと、区分所有法で定められていて、専有部分内での行為や専有部分の使用方法にも適用されます。

具体的に専有部分に課せられる制約は、管理規約に定められます。例えば、住宅限定か事務所や店舗使用を認める等の用途やペット飼育の可否、楽器の演奏を認める時間帯、リフォームの実施方法などがあります。

マンションによって、立地や構造、規模などがさまざまなように、上記のような制約・ルールは各マンションごとに異なります。 区分所有法ではこのような状況を想定し、各マンションの実状に応じたルールを定めることができるとしています。このルールが書かれたものが「管理規約」です。

前提となる区分所有法という法律があり、個々のマンションに応じて管理規約というルールがある、ということです。

参考:建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号)

リノベーションするなら把握しておきたい管理規約

上記のように、専有部分での行為・使用方法は区分所有法で制限されています。そしてマンションごとに用意された管理規約に独自のルールが記載されています。この管理規約ですが、国土交通省が「マンション標準管理規約」を公開しています。ほとんどのマンションは、このマンション標準管理規約を基に修正加筆変更を行っていますので、今回はこのマンション標準管理規約のポイントについてご紹介いたします。(平成29年8月時点のもの、以下省略)

参考:国土交通省「マンション標準管理規約」掲載ページ

チェックしていくポイントは以下3点です。

 ・専有部分と共用部分を把握する
 ・専有部分の修繕等についての記載を確認する
 ・変更したい共用部分の変更・改良・保存についての記載を確認する

専有部分と共用部分を把握する

マンション標準管理規約第2章の第7条と第8条に専有部分の範囲、共用部分の範囲について記載されています。くだいた表現にすると、躯体部分を除く天井、床および壁に囲まれた部分が専有部。また玄関扉は内側を専有部、外側を共用部として、窓枠・窓ガラス(雨戸・網戸含むことが多い)は専有部分とはしない、ということです。

専有部分がリノベーションできる範囲となります。大部分のマンションが同じような線引きだと思われますが、管理規約はあくまでマンション特有のルールです。まずは専有部分=リノベーションできる範囲をきちんと把握しましょう。

一般的に想像できる室内はもちろんですが、所有者しか使ってないけど好きなように変えることはできない箇所があります。例えば、玄関扉の室内側については好きな色で塗装したり好きなシートを貼ったりすることができますが、玄関扉の外側、つまり共用廊下側の面については塗装できません。

窓ガラスも好きなように変更することはできない、ということがほとんどです。窓ガラスの性能はどんどん向上してますので新しくしたいところですが、規約によってそういったものに変更できない、という場合がほとんどです。しかし、そういった懸念点を解消するように内窓という商品があったり他の方法で取り入れることができることもあるので、リノベーション会社に相談してみましょう。

専有部分の修繕等についての記載を確認する

次に、リノベーションができる範囲でどんなことができるか規約を確認しましょう。マンション標準管理規約では第4章第17条に「専有部分の修繕等」という項目が記載されています。リフォームやリノベーションというのは、この「修繕等」に当たります。

この修繕等が共用部分またはほかの専有部分に影響を与えるおそれがある場合は、管理組合の理事長(以下理事長)に申請し承認を受けなければならない、と記載があります。そういったおそれがない場合でも、工事業者の立ち入り、工事の資機材の搬入、工事の騒音、臭気等が考えられる場合は、理事長にその旨を届け出なければなりません。

具体的には、給排水管の改修を伴う浴室リフォームであったり、床材を貼り変えるといった工事が挙げられます。マンション全体で実施されている高圧洗浄ができなくなってしまったり、床を貼り変えることで新築時と同等以上の遮音性能を維持できなくなってしまうことが考えられるからです。きちんとそういった工事ではない、ということを申請しなくてはなりません。

またリノベーションだからこそ見かける例としてはハンモックの取り付けなどで躯体コンクリートにアンカーを打ち込むといったことが挙げられます。この場合、きちんと鉄筋を探査してから穴をあけているかといった手順を理事長が立ち入り検査される場合もあります。

変更したい共用部分の変更・改良・保存についての記載を確認する

リノベーションの際には、網戸の張替・交換等共用部分を対象にしたい場合があります。

マンション標準管理規約の第1節第22条に「通常の使用に伴うものについては、専用使用権を有する者がその責任と負担においてこれを行わなければならない」と記載があります。ですので、網戸はリノベーションの際に一緒に張替・交換しても良いということがほとんどです。ただし、築年数の古いマンションなど、場合によっては、組合で一斉交換を予定しているといったこともあるので、事前に確認をしておくと良いでしょう。

網戸の他にも気になる共用部分をリノベーションの対象にしたいときは、事前に確認しておくと心配ないでしょう。

使用細則とは?

この「使用細則」というのは、区分所有法には特に記載がありません。ただ、一般的なマンションの管理においては、個別ルールを定める場合、「規約」では基本的な事項をのみを定め、さらに具体的・詳細なルールについては、「使用細則」を設けて使用に関するルールを定めていることがほとんどです。

つまり、管理規約に書いてあることについて、より詳しく記載されているので必ず使用細則にも目を通しましょう。管理規約の項目でご紹介したような「申請」のルール、例えば申請書式や申請時必要な書類(お知らせ文が記載された掲示物等)、いつまでに申請しなければならないのかといった期日など、また使用する部材についてや、近隣住民へのご挨拶についてなど、たくさん記載されています。

細かな話ですが、マンション=集合住宅で住むにあたってはそういったルールを守り、同じ資産を持つ住民としてしっかり対応していきたいですね。

おわりに

法律や規約など、少し難しい分野ですが、マンションはたくさんの方が住む「共同住宅」です。よくマンションの資産価値のお話しの際に聞く「管理が行き届いている」というのも、こういった規約を守って生活している人が住んでいるから。

夢いっぱいのリノベーションで、周りに迷惑をかけることのないよう、きちんと規約を守って気持ちよく新生活を送っていただければと思います。


この記事の情報を用いて行う行動に関する判断・決定は、利用者ご自身の責任において行っていただくと共に、必要に応じてご自身で専門家等に相談されることを推奨いたします。弊社は、当記事の情報(個人の感想等を含む)と、この情報を用いて行う利用者の判断について、一切の責任を負うものではございません。

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