起きて半畳寝て一畳、天下取っても二合半

[記事更新日]2021/11/16

タイトルの言葉。この諺をご存じでしょうか。

『人間一人に必要なスペースは、座っている時に半畳、寝ている時に一畳だけ。いくら天下を取ったって、一食に二合半以上のお米は食べきれない』という意味です(一食でなく一日の説も)。
つまり、必要以上のものを欲しがったり手に入れたりしても使い切れないのだから仕方がない、ということです。

かつてなのか、今も尚なのか、日本の住宅はウサギ小屋だと海外から揶揄されてきました。それは単に“スペースが狭い”という意味ではなく“住宅環境が劣悪”という意味ではないでしょうか。

ビジネスマン

実際に日本の住宅で暮らしてきた、私たち日本人自身もそのように感じている人は決して少なくないはず。
“狭い”というよりも“家の環境が悪い”と・・・。

さて、本題に入って行きましょう。

今回のテーマは「快適な家作りに、広さは関係ない!」といったところです。

目次-contents-

本当に快適なの!?家が狭くても・・・

家で何をして過ごしたいかにもよりますし、趣味によってはそれなりの広さが必要な場合も・・・だから狭い広いという認識の仕方は人それぞれ。
なんだか腑に落ちないようなことを言っていますが、漠然とただ広い家がいいな〜と思って不必要に広いスペースが余っても快適な暮らしとはなるはずがありません。

では、あなたにとって必要な広さはどれくらいだか考えたことはありますか。

家探し

今の家から新しい家に引っ越すとなると、色々と思い切って手放すであろうものが思い浮かびますか。それとも、手放すなんてとんでもないことでしょうか。あるいは、これを機に色々と欲しかったモノを買い足したいですか。

私の個人的な意見をお聞き頂けるのなら、私はどれも素敵な暮らしになるだろうなと思います。本当に、あなたがそのモノたちすべてが好きで大切で必要として求めているのであれば。

“手にしたいモノ・手にしていたいモノ”をシンプルに整理してみる

快適な自宅とは、あなたが本気で好きで大切で必要なモノにだけ囲まれている、あなたらしい空間なのではないでしょうか。

イタリア人のブルーノ・ムナーリ。
彼のことを一言で表現するなら、デザインの神様とも呼べる人物です。
彼は生涯の後半、極上の知恵を散りばめるかのごとく、本や新聞などに数多くの言葉を残してくれました。
それらは、芸術やデザインの制作に限ってのことではなく、私たち人間が生きていく上でとても重要で大切なメッセージたちと受け取れます。

その中に“シンプルにする難しさ”について書かれたものがあります。

『複雑にするのは簡単だが、シンプルにまとめるのはむつかしい。
複雑にするには、色とか、形とか、動きとか、飾りとか、人とか、ものにあふれた環境、お好みのものを、どんどん加えてゆけばいい。複雑にするのは、誰にでもできる。でも、シンプルにまとめることができる人は、ごくわずかしかいない。
〜<中略>〜
簡素化するには、取り除かなくてはいけない。取り除くには、何を取り除くか知らなければならない。
〜<中略>〜
加える代わりに、そぎ落としてゆくことは、ものごとの核心を見抜き、その神髄を伝えることである。神髄にいたるには、時間や流行を除外しなければならない』

さらに続きます。

『そぎ落としの作業を経て、シンンプルに表現されたものが現れると、シンプルにまとめられた時点で、あまりにも、すべてが単純明快なものだから、それほど重要なものには見えないようで、多くの人が「これなら、僕だって、つくれるよ」と言う。本当のところ。それは「こんなにシンプルなものなら、僕だって、真似してつくれるよ」という意味だ。そうでなければ、もうとっくにつくっているはずだもの』

このようにも述べています。

『簡素化は、知性の証である。中国の賢人は言ったものだ。「二言三言で言えないことは、どんなにたくさんの言葉を連ねても言えない」と』

豊かさは、住宅の規模では測れない

豪邸に住んでいる人は裕福に違いない。
こんなイメージが一般的ではないでしょうか。
羨望や憧れの的、もしくは、嫉妬や妬みの対象になったりもしますよね。

インテリア

建築家の杉浦伝宗は『住宅にとって、広さはそれほど重要ではない』と体験的に分かったと著書で述べています。
では、重要なのは何なのでしょうか。
それはやはり、居心地のよさ。たとえ狭くても、工夫次第でいくらでも居心地のよい家はつくれると言います。

建築家の池辺陽(いけべきよし)はこのように述べました。
『大きい家はバカでも住める、小さい家に住むには智恵がいる。ですから大きい家より小さい家がいい』

とは言え、ライフスタイルも感覚も価値観も人それぞれ。
“狭い” “広い” が、どれくらいの面積なのかは一概には言えません。

例えば、ル・コルビュジェの「小さな家」と名付けられた住宅があります。広さは60㎡、18坪(36畳)ほど。これを最小の面積としています。

「ちいさなおうち」という絵本には、小さいとされる家をこのように描写しています。
『丘の頂上に建つ小さな家は正面から見ると扉ひとつに窓がふたつ。煙突からは煙が立ちのぼる』

狭ければ良いとも広ければ良いとも、一概には言えません。

屋根

あなたにとって『精神的に豊かな空間』がどのようなものなのか、そのことを意識して家をつくられてはいかがでしょうか。

  1. 参考資料
  2. 『ムナーリのことば』ブルーノ・ムナーリ 著,阿部雅世 訳,平凡社
  3. 『二畳で豊かに住む』西 和夫,集英社
  4. 『ミニ書斎をつくろう』杉浦伝宗,株式会社KADOKAWA

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