ビル・ゲイツ「お金を上手に使うことは、お金を稼ぐのと同じくらい難しい」

[記事更新日]2017/03/24

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お金の『履歴』があなたの信頼度を決める時代に?!

アメリカでは、就職活動の際、クレジットカードの利用履歴がチェックされるといいます。あなたがお金をどのように使っているか知ることは、あなたの性格や様々な物事に対する傾向を知ることと同じです。個人の信用が、いままでのお金の『履歴』によって決まる時代がくると言われています。そんな時代に、私たちはどのように「お金の知性」を高めていけばいいのでしょうか?

Unrecognizable male customer is holding black camera in the store. Row of other camera models is visible on the shelf.

会計の際に千円札を出して、店員に「あなたの名前と住所は?」と聞かれずに済むのは店員があなたの千円札を信頼しているからであり、その信頼を担保に商品やサービスを受けることができるような経済を「信用経済」と呼びます。

先日、アップルからApple Payが発表され話題になりましたが、このようなお金を介した信用のやり取りは今後ますますオンライン上で行われるようになり、物やサービスの購入が個人の信用を元に行われるようになるため、これからは◯◯大学卒業という学歴よりも、どのようにお金を使ってきたのかを表す「額歴」がモノを言う社会になるとも言われています。

Close-up of credit card payment in pharmacy.↑学歴ではなく、何にお金を使ってきたかによってその人の信用度が決まるようになってくる

18万人を超える受講生を抱える日本ファイナンシャルアカデミーの代表である泉正人氏は、1ヶ月分のレシート、クレジットカードの明細、もしくは通帳を見るだけで、その人の食生活や飲酒量、趣味、浪費癖、読書量、そして健康状態が手によるように分かるとして、次のように述べました。(1)

「レシートやクレジットカードの明細はあなたの『お金の履歴書』であり、その履歴書を通じてあなたの人間的信用が試されているのです。学歴より『額歴』。そんな社会がすでに到来しているのです。」

Meeting point Shibuya Crossing in Tokyo↑カードの明細はあなたの「お金の履歴書」

クレジットカードや電子マネーが発達し、お金はスマートフォンやパソコンの画面に表示される単なる数値のように見えますが、その数値そのものが示しているのは、その人の「信用」の大きさであり、つまり、お金とは「信用を見える化」したものと言うことができます。(2)

例えば、住宅ローンを組む時には残高証明ではなく、通帳を見せて欲しいと言われることが最近はよくあるようですが、通帳を見ればその人の生活パターンや人間性が手に取るようにわかるため、ローンをちゃんと返済してくれるのかを見極めることは簡単でしょう。

すでにアメリカでは、クレジットカードの利用状況を表すクレジットヒストリーが就職の面接で使われることもあるそうで、仮に面接での印象が良くても、クレジットヒストリーを見ればその人の実態が簡単に分かってしまい、採用を勝ち取ることはできません。

Below view of business people listening candidate at job interview.↑お金とは結局のところ、その人の信用を「見える化」したもの

ところが日本では、「政治とカネの問題」などとお金に対して悪い印象を与えるような表現が使われますし、家庭や学校では人が人生の大半の時間を犠牲にしてまで稼ぐお金の本質を学ぶという機会がほとんどなく、お金はなんとなく「汚いもの」として扱うのが暗黙の了解となっています。

お金って汚いもの?

日本を代表するコピーライターの糸井重里さんは、人々のお金に対する嫌悪感は衛生面の問題ではなく、「お金は汚い」という信仰のようなのもので、そこを理解した上でお金と向き合わなければならないとして次のように語りました。(3)

「子供の頃、お金を口に入れた時に祖母にひどく怒られました。その理由を祖母に尋ねたところ『誰が触ったか分からない物だから』という答えが返って来たのですが、みんな手で触っているし、結局のところお金って手で触れる程度の汚さなんですよ。本当に汚いものならば、触りませんから。」

Portrait of grandmother↑汚いと思い込んでいたお金が本当に汚いものなのか考え直す時期に差し掛かっている。

私たちの多くは、お金を得られる社会人になるために、長い年月を使って勉学に励み、就職してから退職するまでの人生の大半をお金を得ることに勤しみますが、「お金には近づかないほういい」という刷り込みによってお金を敬遠して来た結果、お金のことはぼんやりとしか理解していないのかもしれません。

実際に、前述の泉正人氏が主催する講演会で、ある講師が「ホワイトボードに千円札の絵を書いてみてください」と参加者に尋ねると、多くの人が長方形で左右に金額が記してあり、中央に楕円形の透かし部分があるということはわかっていても、それ以上の細部をほとんど思い出せなかったそうです。(4)

Japanese currency↑毎日のように目にする千円札なのに、どんなデザインだったかほとんど思い出せない

多くの人が千円札の詳細を描けなかった一方で、千円札と同様、毎日のように顔を合わせる家族や恋人の顔を描くように伝えると、顔の輪郭、まぶたが一重なのか二重なのか、髪色、肌の色、そしてホクロの位置など、顔の詳細をかなり鮮明に思い出せたというのですから、私たちが今までどれだけお金に向き合うことから逃げてきたかがよく分かります。

しかし、お金抜きに生活を語ることはできないため、お金は汚いなどの既存のネガティブな先入観や感情を捨て去り、お金と真っ向から向き合うことで、より豊かな人生を送ることができるのではないでしょうか。

マイクロソフトの創始者であり世界一の資産家としても有名なビル・ゲイツが「お金を上手に使うことは、お金を稼ぐのと同じくらい難しい」と述べたように、お金を賢く使えるようになるためには、まず自分にとって一番価値のあるものを見極める力を磨き、その価値観に合うサービスやモノに交換して使うことで、お金を自分の信頼を上げるツールにすることができるようになるのです。

That's exactly what I want!↑「お金を上手に使うことは、お金を稼ぐのと同じくらい難しい」

ところが、ほとんどの人たちは自分にとって最も価値のあるものを見分ける目を養えておらず、例えば、日本人の約8割が一度は購入したことがあると言われている年末ジャンボ宝くじでは1回で約100人の億万長者が生まれると言われていますが、当選確率は2000万分の1であり、その確率は言い換えると800kgの米の中からたった1粒の米を探し出すのと同じで、冷静に考えれば自身の価値観を満たすこともなく、割に合わない出費(浪費)だとわかります。(5)

gambling problem and family conflict↑浪費はあなたの信用価値を下げる。

お金、錆びつかせていませんか?

一方で、私たちは幼い頃から両親や親戚に「無駄遣いはいけないこと」と教わってきたため、お年玉は使わずに銀行に預けることが正しいことだと思い込んできました。しかし、「支出を見ると思考と行動が分かる」という言葉を言い換えれば、コツコツと節約をすることは自分自身の思考や行動を制限することになるため、節約することが必ずしも正解だとは限りません。

そもそも私たちが節約することを大切だと考えるようになった背景には、1946年の終戦と同時に始まった「救国貯蓄運動」があるようで、国民が貯蓄に励むことで通貨の安定を図ろうとした日本政府の政策によって「貯蓄をするのが正しいお金の扱い方」という価値観が生まれたと言われています。(6)

確かに、自宅や会社からほとんど動かず生活することで支出は抑えることができるのかもしれませんが、普段使わない自転車のチェーンが錆びて使い物にならなくなるように、自分の行動を制限するということは自分を気付かぬうちに錆びつかせてしまっているのかもしれません。

Tokyo subway Japan↑支出を制限すればするほど、自分を錆びつかせることになる。

このように貯蓄という概念が存在するのは、お金が信用や価値を保存するための「入れ物」として機能しているからであり、減価しないお金が流通していなかった時代にさかのぼると、お金には流動的な性質があったようです。

古代において世界最先端の金融システムが存在したと言われてるエジプトでは、当時、穀物を広大な穀物備蓄倉庫に預けると、それと引き換えに渡される「陶片(とうへん)」と呼ばれるものがお金として使われていました。

当然、穀物は日々劣化しますし、ネズミや害虫などによる損失は時間が経つほど大きく、また、倉庫を貸し付けている貸主への穀物の保管料も加味されることで、そのお金の価値や信用は毎日少しずつ目減りしていくシステムであったため、お金を保持しておいても損ですから、施設や土地の改良に積極的にお金を注ぎ込むなどして長期的に利益を産むものに投資をしたそうです。(7)

archaeological digging near statue of Sphinx in Egypt↑長期的な視点で土地や施設に投資していた古代エジプト人

メジャーリーガーのイチロー選手は日頃から試合で「打つか見送るか」というような究極の選択を瞬時に導き出すことを求められ、その瞬時の判断が翌年の年俸や契約継続に直接的に結びつくため、心身ともに神経をすり減らすそうで、自身の聖域とも言える自宅にはこだわりを追求し、1円足りとも妥協するべきではないとして、「家の中の空間がどれくらい気持ち良いかというのは、グラウンド(成績)に反映される」と強く語っています。

そのため、奥さんや愛犬と多くの時間を過ごすリビングの間取りはかなり広めにとり、お気に入りの映画をリラックスして観るためにスイスのデザイナーであるコルビジェがデザインしたこだわりのソファーを愛用するなど、嗜好を凝らした自宅で日々の疲れを癒し、翌日からまた良いプレーで成績を残し、その成績が彼自身の信頼に結びつき、最終的に年収や契約という面で表に現れるのですから、このような使い方が本当に賢いお金の使い方と言えるのではないでしょうか。

Baseball stadium↑イチロー「家の中の空間がどれくらい気持ち良いかというのは、グラウンドに反映されるんです」

「お金と幸福のおかしな関係」の著者でスイスの哲学者として知られるビンズヴァンガー氏は、もともと人々の生活を快適にしたり、文化や経済を発展させるために開発された「お金」というツールの意義が、時が経つとともに人々に忘れ去られ、お金の本質を理解していない人が増えてきているとして次のように述べています。(8)

「99%の人々がお金の問題を見ようとしない。科学や社会もこれを見ようとしない。しかし私たちを取り巻く世界はそのお金によって、これまでにない大きな課題に突き当たっているのだ。」

つまり、私たちが普段使っているお金というものは、単なる「箱」であって、信用や価値という中身があって初めて成り立つ物なのにも関わらず、多くの人々は表面的な箱にしか注意が向いていないのです。

Young Japanese Man Using Vending Mashine in Tokyo.↑お金の問題は今の我々が乗り越えなければならない最重要課題

大切なのはその箱の中身を十分に理解することであり、それを上手く使う方法を見つけることでお金の本来の存在意義である「価値の購入」を果たすことができますし、その成功体験をコツコツと何年、何十年と積み上げることで、いつか振り返った時にお金を賢く使ってきた歴史である信用貯金が貯まっている事に気付くのです。

「人生にはその時に生きている『ステージ』が存在する。その人の人生は、そのステージに見合ったものにしかならない。出会う人、起こるイベント、入ってくるお金、出ていくお金、知力、見える世界、運、不運…全てステージに依存している。」

これは前述のイチロー選手の言葉ですが、もしかしたら、信用貯金というのは人生のステージのようなもので、信用貯金高が増加するのに比例して、人生の質も上がるのかもしれません。なぜなら、私たちの社会は“信用”で成り立っているのですから。

  1. ⑴泉正人「お金言論 30歳で知っておきたい『お金の知性』の高めかた」(東洋経済新報社、2016)Kindle 496
  2. ⑵菅井敏之「一生お金に困らない人生を作る 信用残高の増やし方」(PHP研究所、2015)Kindle30
  3. ⑶糸井重里、邸永漢「お金をちゃんと考えることから逃げまわっていたぼくらへ」(PHP研究所、2011)Kindle395
  4. ⑷泉正人「お金言論 30歳で知っておきたい『お金の知性』の高めかた」(東洋経済新報社、2016)Kindle 854
  5. ⑸泉正人「お金言論 30歳で知っておきたい『お金の知性』の高めかた」(東洋経済新報社、2016)Kindle 683
  6. ⑹泉正人「お金言論 30歳で知っておきたい『お金の知性』の高めかた」(東洋経済新報社、2016)Kindle 720
  7. ⑺河邑厚徳、グループ現代「エンデの遺言ー根元からお金を問うこと」(講談社、2011)KIndle3475
  8. ⑻河邑厚徳、グループ現代「エンデの遺言ー根元からお金を問うこと」(講談社、2011)KIndle3196

この記事の情報を用いて行う行動に関する判断・決定は、利用者ご自身の責任において行っていただくと共に、必要に応じてご自身で専門家等に相談されることを推奨いたします。弊社は、当記事の情報(個人の感想等を含む)と、この情報を用いて行う利用者の判断について、一切の責任を負うものではございません。

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