リーマン・ブラザーズが“リーマン・シスターズ”だったら潰れなかったのに「会社や政治を男に任せておくと、すべてをグチャグチャにされる。」

[記事更新日]2017/03/24

New Business clothing store, owner and team. Three people team working on new arrivals in the warehouse.

アイスランドやスウェーデンから見る女性の社会進出の重要性

東京都新宿区の人口数とほぼ同じでわずか32万人の北ヨーロッパに位置する小さな島国アイスランドは、オーロラなど美しい自然があふれる国で知られているほか、世界で初めて女性大統領を誕生させた国ということでも知られています。

「女性が生きるには最高の国」とまで言われるアイスランドでは、政界において大臣の3分の1を女性が占めた経験もあるほど女性の社会進出が盛んで、女性が重要な役職に就いている企業も少なくありませんが、こういった社会への道を作ったのは、1975年に起こった「一斉休暇運動」という女性国民が仕掛けた全ての仕事に対するボイコットでした。

Lisbon, Portugal - February 15, 2015: A woman shouts slogans on a microphone during a left-wing political rally in Lisbon downtown. ↑現在、世界で一番女性が生きやすい社会は、女性が社会に仕掛けたボイコットから始まった

アイスランドで起きた女性の「一斉休暇運動」

アイスランド女性の90%にあたる約9万人の女性が参加した「一斉休暇運動」とは、その名のとおり、料理、掃除洗濯や育児などの家庭内での仕事、そして会社に勤めている場合は、会社に行かず全ての仕事を放棄するという運動で、どれだけ女性が社会に貢献しているかを強調するため、ありとあらゆる立場の女性がいっせいに仕事をしないというストライキを起こしたのです。

「わたしの母親も、友達のお母さんも、スーパーマーケットの店員から学校の先生まで、この日はどの女性も仕事を放棄し、近所に住む3人の息子を持つお母さんは朝の8時に家を出て夜まで帰宅することはありませんでした」と、当時21歳で一斉休暇運動に参加した女性が話すように、女性がいないために学校や保育園、そして工場など多くの施設が機能せず、休校・休業しなければならない状況に陥りました。

"Lisbon, Portugal - January 26, 2013: A woman waves a flag during a protest rally in Lisbon downtown, against the Education policy of the government." ↑国内の90%の女性がすべての家事・仕事をボイコットした

母親の役目もこなさなければならなくなった父親は奮闘したようで、学校は休校となってしまったために会社に子供を連れて行ったり、簡単に調理ができるソーセージに需要が集中したため、売り切れになってしまったりと、アイスランドではこの日一日、大混乱が続きましたが、この過激な運動の成果もあり、アイスランドは「女性が生きるには最高の国」へと歩みを進めます。

アイスランドから世界初の女性大統領が誕生

ストライキから5年後の1980年、男女平等の社会へと前進させるようにヴィグディス・フィンボガドゥティル氏が大統領に就任、アイスランドから世界初の女性大統領が誕生し、BBCのインタビューを受けたフィンボガドゥティル氏は、女性の権利は一斉休暇運動をきっかけに大きく変化してきたと指摘し、次のように
述べています

「(一斉休暇運動があった)次の日にはすべてが元の日常に戻りましたが、アイスランド国民は女性も男性と同じように社会を支えているのだという意識を持つようになっていました。多くの会社や組織が女性の重要性と必要性をじゅうぶん理解し、一斉休暇運動は女性に対する考え方を根本的に変えることができたのです。」

High angle shot of a young woman lying on a throw rug at homehttp://195.154.178.81/DATA/i_collage/pu/shoots/805863.jpg ↑たった一日の抗議運動が、女性の存在価値を大きく広げることになった

男性と女性で考え方に違いがあるのは、男女で脳のつくりが違うためですが、基本的に男性は右側の脳のサイズが大きいため、何か一つのことに特化した機能を持つ脳になると言われている一方、女性は左右の脳のサイズが均等であるためバランスがよく、複数の情報を一度に処理する能力に長けているのだそうです。

一つの物事に対して複数の側面から判断する女性はチェックが厳しく、アイスランドの調査では男性よりも厳しい目で物事をチェックする女性がいることによって、会議での話し合いの際も、詳細まで踏み込んだ内容となり、会議に臨む人々の様子にも変化が表れるということが明らかにされています。

アイスランド商工会議所の前所長はこの事実を受け、女性がいることで不正や間違いなどは事前のチェックで阻止することができ、その結果、企業の道徳倫理性が高まるとして、企業の長期間に渡る生き残りの秘訣こそ女性の存在にあるだろうと提言しました

Portrait of a senior businesswoman sitting on her desk in a modern office and. She's working on a computer and wearing glasses and has silver hair. ↑女性が物事を厳しくチェックすることで、企業が道徳的かつ健全でいられる

企業における女性の割合と収益性

現在アイスランドでは、企業の役員会で占める男女の割合がどちらか一方に偏らないような法律までもが制定されていて、ある女性役員はこのルールに対し、このようなルールが無ければ全員が女性になってしまう可能性もあるだろうという意味を込め、「若い男性にチャンスを与える良い法律だわ」と余裕の発言をしており、何不自由なく社会に溶け込むアイスランド女性たちの表情は自信に満ち溢れています。

事実、アメリカでは3人もしくはそれ以上の女性役員がいる企業は、平均よりも利益率が高いという調査結果が出ていて、女性役員数が多ければ多いほど、利益や業績に反映されるそうで、その理由を社会学者の山田昌弘氏は著書「女性活躍後進国ニッポン」の中で、世の中の経済構造が変わり、企業は幅広い視野を持って細やかな気配りができる女性の能力を必要とする環境になっているからだと説明しています。

A young businesswoman sitting in an office chair with a colleague in the backgroundhttp://195.154.178.81/DATA/i_collage/pi/shoots/784717.jpg ↑女性が会社の主導権を握る方が、明らかに利益率が高い

山田氏は、1990年頃までは生産すれば利益が上がるという時代でしたが、現代では一通りのモノを手に入れた人々は、モノよりサービスに需要が集中し、モノにしてもプラスアルファの付加価値がなければ売れない時代であるため、特に複数の側面から物事を考え、細やかなチェックや気配りができる女性の能力が必要とされているのだとも述べていて、アイスランド商工会議所の前所長の「企業の長期間に渡る生き残りの秘訣こそ女性の存在にある」という言葉はどうやら間違ってはいないようです。(1)

スウェーデンにおける女性の社会進出

アイスランドと同じ北ヨーロッパに位置するスウェーデンもまた、女性の就業率が80%を超えるほどに女性の社会進出が盛んで、平日の街中ではベビーカーを押して子供を散歩させる男性もよく見かけるなど、スウェーデン国民は家事を行うことも、社会に出て働くことも性別に関係なくすべての人が行うという認識でおり、完全な男女平等の国として知られています。(2)

Photo of father and son spending time in the nature together. Boy is covered in father's jacket since he's getting cold. ↑実は子供は男性に任せて、会社は女性に任せた方が良いかもしれない

そんなスウェーデンには、「性」を押し付けない教育をする幼稚園があり、先生は子供たちに男女分け隔てなく接することを心がけるほか、普段使うおもちゃにしても男の子用・女の子用で区別せず、男女を意識しないような色使いにするなどして「男らしさ」や「女らしさ」といったことを排除し、遊びもおもちゃもすべての選択を子供の意思に任せるよう徹底しているそうです。

わたしたちが思っている「男らしさ」や「女らしさ」は、所詮社会によって刷り込まれた情報でしかないのかもしれず、もしかすると、スウェーデンの幼稚園のように“刷り込み”を排除した環境が整えられれば、そもそも育児や会社で働くといった男女の役割について悩むことはなく、「男女平等」に関する問題も起こらないのかもしれません。

Portrait of an attractive young woman sitting in an office ↑男女の役割に悩むことのない社会が本当の平等社会

アイスランドの子育て事情

アイスランドを代表する女性歌手ビョークは、世界で最も権威のある音楽賞「グラミー賞」を何度も受賞したことがあるほど、世界的に認められている人気歌手ですが、彼女もまた19歳という若さで出産を経験しており、アイスランドの女性が仕事をしながら出産することに対して躊躇しない様子は、彼女の言葉からもうかがえます。(3)

「まわりには子どもがたくさんいる大家族ばかりの中で育ったからね。妊娠するのは自然の摂理。自分の仕事を続けることがむしろ当たり前だった。だから子どもを産むのがオオゴトだなんて、これっぽっちも思わなかった。」

Young fashion designer is visiting her workplace with her little daughter ↑むしろ仕事の中にも、生活の中にも子供がいるのは当たり前のこと

こういったアイスランド女性の意識の背景には、アイスランドでは学生の身で出産しても、国が育児費用をサポートをしてくれることや、父親の育児参加が当然といった風土があり、特に父親の育児に関しては、父親は給与の80%を受け取りながら年間120日の育児休暇が認められ、育児休暇制度が充実しているヨーロッパ諸国でも父親に付与される育児休暇日数の多さは、アイスランドがナンバーワンとなっており、父親の90%近くは育児休暇を利用しているそうです。

Photo of a mother and son having an easy springtime walk ↑父親は給料の80%を受け取りながら、年間120日の育児休暇が認められている

リーマンショック後の危機からアイスランドを救ったのは女性だった

経済協力開発機構が発表している「世界各国の幸福度ランキング」で常に上位にランクインしているアイスランドですが、2008年のリーマン・ショックの影響を受けた時には、国家破綻寸前にまで追い詰められるという辛い経験もしています。

当時、アイスランドを牽引していたリーダーのほとんどが、より多くのモノやカネを手に入れることに注力するような男性ばかりで、これ以上男性に国を任せておけないと、首相、国の主要銀行2行、国内で最も男性が多く働く大手企業のトップにも女性が就任し、欲に釣られることのない女性たちは男性からも圧倒的な支持を受けました。

女性リーダーたちは国の建て直しを第一に考え、国民の家計を支えるため、社会保障を増額、海外投資家への救済を後回しにして国民の預金保護を優先したことは他国から散々批判を浴びましたが、それに怯むことなく徹底的に国民の幸せの追求、そして彼女たちが国民と共に国を建て直していこうと議論する様子はネット配信され、国民の意見をリアルタイムで取り入れながら政策が進められていったのです。(4)

Close up of female hand against defocused group of students. Unrecognizable people. ↑ただ欲のままに行動し続ける男性にこれ以上国を任せておけない

女性リーダーたちによる国の建て直しの結果、今日のアイスランドはリーマン・ショック以前のような経済的に余裕のある暮らしができる国ではなくなりましたが、将来も見据えながら母親のように守っている、そういった女性がトップに立つアイスランドの国民は、お金より大切なものは人との繋がりであるということを教えられて育ち、保健省に勤める女性は次のように述べています。(5)

「幸せはお金次第の側面もあるかもしれませんが、アイスランド人は辛い目に遭ったおかげで、お金はそんなにいらないことを学びました。(中略)アイスランド人は、本当にとても幸せだと私は思います。人が幸せになるための要素は何かと言えば、まず第一に人間関係です。」

実際、幸福度という目に見えないものを計るのは難しいですが、それでも、男性や女性という枠にとらわれず、活き活きと暮らす姿がアイスランドの幸福を証明していて、わたしたち日本人もアイスランドのように性別の垣根を越えていくことで、現在よりも充実した暮らしを送ることができるのではないでしょうか。

  1. 【参考文献】
  2. 山田 昌弘 「女性活躍後進国ニッポン」 (2015年、岩波書店) p.21
  3. 片野 優、須貝 典子 「こんなにちがうヨーロッパ各国気質-32か国・国民性診断」 (2012年、草思社) p.183
  4. エヴェリン・マクドネル 「ビョークが行く」 (2003年、新潮社) p.26
  5. ジョン・ガーズマ、マイケル・ダントニオ 「女神的リーダーシップ~世界を変えるのは、女性と『女性のように考える』男性である」 (2013年、プレジデント社) Kindle 955
  6. マイケ・ファン・デン・ボーム 「世界幸福度ランキング 上位13ヵ国を旅してわかったこと」 (2016年、集英社インターナショナル) pp.24, 25

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