不動産を買うときに覚えておきたい7つの年代のまとめ

[記事更新日]2017/04/23

7つの年代まとめ

建物や不動産に関する法律は数年単位で改正されたり新しい法律が施行されます。

そしてその改正や新法成立の大半が、社会的に問題になった事件や災害に対応するための規制強化。
その年代を知っているかいないかで選ぶ住宅の性能やルールが異なり、長期的な目線で見た資産価値にも影響を及ぼします。

代表的な例を出すと建築基準法。旧耐震基準と新耐震基準の違いは、不動産を購入しようと考えたことのある人なら一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
ちなみに、住宅を買うときに覚えておきたい年代は、1981年の建築基準法改正を含め全部で7つ。

まず始めに、古くから改正が繰り返し行われている建築基準法についてご説明していきましょう。

目次-contents-

1つ目:【1981年6月1日】「建築基準法」改正

世界でも類を見ない「地震大国」に住む私たちにとって、地震対策は避けて通れない問題です。

大地震はいつ、どこで発生するか予測がつきません。それだけに、いま住んでいる家が大地震に耐え得る強度を備えているかどうかを気にしている人も多いのではないでしょうか?

そもそも建物というのは、自分が所有する敷地内であれば好き勝手に建てていいわけではなく、守らなければならない一定の基準があります。それを定めた法律が建築基準法で、1950年に制定されました。

なかでもターニングポイントとも言うべき大幅な改正が行われたのが、1981年6月1日。これは1978年の宮城県沖地震を受けて改正されたものです。

大地震

宮城県沖地震 (1978年)(みやぎけんおきじしん (1978ねん))は、1978年(昭和53年)6月12日の17時14分25秒(JST)に発生したマグニチュード7.4(Mw7.5[2])の地震。最大震度は仙台市などで観測した震度5(強震)であり、東京でも震度4(中震)を記録した。平均37.1年の間隔で[3]複数回起きた宮城県沖地震の一つである。

wikipedia より

この地震で当時初めて大都市でライフラインが停止して都市機能が麻痺したことに加え、家屋倒壊被害がとても大きかったことが問題として取り上げられました。そして3年後の「1981年6月1日」に、建築基準法の耐震基準が大幅に強化され、この改正以前を旧耐震基準、以降を新耐震基準と呼ぶようになったのです。

この1981年6月の新耐震基準と旧耐震基準建物の耐震性が高まった新耐震基準が代表的ですが、それ以降もたびたび法改正や新しい法律が施行されています。

2つ目:【2000年4月】「住宅の品質確保の促進等に関する法律」の施行

2000年4月。この年は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」が施行され、宅地建物取引業者が新築の住宅を売ったり建設会社が新築の住宅を建てたりしたときは、雨漏りや構造体の不具合は10年間責任を負わなければならないことになりました。

住宅の性能の表示基準を定めるとともに、住宅新築工事の請負人および新築住宅の売主に10年間の瑕疵担保責任を義務付けることにより、住宅の品質確保をめざす法律。「品確法」とも呼ばれる。

http://www.re-words.net/mob/decsription.php?n=651&p=3&f=7

また、住宅性能表示制度が創設されたことから、住宅性能評価書を取得した建物では建物のさまざまな性能が客観的な数値で評価される仕組みが整いました。

3つ目:【2000年6月】「建築基準法」改正 木造住宅の耐震性強化

木造住宅

3つ目は2000年6月。この年は、建築基準法が改正され地盤調査が実質的に義務化されたり、木造の建物における金物の規定および耐力壁の量とバランスが規定されたりと、主に木造住宅の耐震性がさらに向上するように規制が強化されています。

4つ目:【2003年7月】「建築基準法」改正 化学物質の制限等が義務付け

2003年7月。この年は、建築基準法が改正され社会問題となっていたシックハウスに関して次の規制が強化されました。

  • 化学物質の明確化
  • 特定の化学物質を添加した建材の使用禁止
  • 化学物質として代表的なホルムアルデヒドを発散する内装材の制限
  • 24時間換気システムの義務付け

これら住宅の建材として使用される化学物質の制限等が義務付けられた年です。

5つ目:【2007年6月】2005年に発覚した構造計算偽装問題から、この年建築基準法および建築士法が改正されました。

2007年6月。2005年に発覚した構造計算偽装問題から、再発防止のためこの年に建築基準法および建築士法に次の改正が行われました。

  • 建築確認
  • 検査の厳格化民間検査機関に対する指導監督の強化
  • 建築士に対する罰則の強化

これらの規制が強化され、この年から第三者機関の専門家による構造審査(ピアチェック)や特定の住宅に対する中間検査が義務付けられています。

6つ目:【2009年6月】「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」の施行

2009年6月の「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」の施行。

長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた住宅(長期優良住宅)を普及促進させることで環境負荷の低減、良質住宅のストックを次世代に継承することでより豊かでやさしい暮らしへの転換を図ることを目的として法律が施行されました。

この年以後は耐久性・耐震性・省エネ性などが優れた建物は、長期優良住宅として認定され、税制面や住宅ローンにおいて優遇措置が受けられます。

最後の7つ目:【2009年10月】「住宅瑕疵担保履行法」の施行

最後は、2009年10月の「住宅瑕疵担保履行法」。

「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づき、雨漏りや構造体の不具合の補修は10年間義務付けられていますが、売主の倒産などによりその責任を十分果たせない場合は、住宅購入者が極めて不安定な状態におかれてしまいます。

そこで、売主の資力確保の義務付けとして売主等は保証金の供託か保険の利用のどちらかを選択しなければならないことになったのです。

駆け足になりましたが、まとめ

このように、その年代に施行された法律や改正された法律により住宅の性能やルールはずいぶん異なりますので、購入しようとしている住宅の年代をよく理解しながら検討してみることが大切です。

やはり新しくなればなるほど耐震性や住宅保証などは手厚くなってきますが、それに伴って築年数が浅くなればなるほど、住宅の価格も上がってきます。資金にそれだけ余裕があれば新しい住宅を選択するのもありですが、何事もバランスが大切です。どんなに新しくて頑丈な家を持っても、それがQOL(人生の質)に繋がるとは限りません。

特に新耐震基準と旧耐震基準の違いについては住宅の価格に大きく影響を及ぼしてきますが、ひとえに新耐震基準の家だからといって、大地震で倒壊しないとも限りません。記憶に新しい熊本大震災でも、その問題は取り沙汰されました。重要なのは、その来る大地震のリスクを自分がどう受け止めるかによるのです。

弊社の社員で、旧耐震基準の物件を購入した経緯をコラムに綴っている記事もございますので、是非今後のご参考にしていただければ幸いです。
⇒参考:「住宅のプロの私が地震に弱い“旧耐震”住宅を選んだ訳


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