生活音の防ぎ方が知りたいんです。

[記事更新日]2017/05/23

ラジオネーム「パンクロッカー太郎」さんからのご質問です。

”こんばんは。わたしはいま32歳。そろそろ結婚を考え始めてもいいかなと思い、近所で定期的に開催されている街コンに参加してきました。ちょっと緊張しながら会場に向かったわけですが、偶然、共通の友人をもつ方と知り合いまして意気投合。なんと、次に会う予定まで決めてしまいました!そこで、質問なんですが、マンションをはじめとする集合住宅において考えられうる懸念点として頻繁に聞かれる『隣室からの生活音』を、リノベーションによってどのように防ぐのか教えてください。”

はい。

目次-contents-

ガッシャーン

音、気になります。マンションなどの集合住宅では、上下左右から「ドンドン」「ガッシャーン」「コンコン」「ペタペタ」「パチパチ」と生活音が聞こえてきます。もちろん生活音だけではありません。空港や自衛隊基地が近かったりすると、「ゴー」「キーン」とか、線路や道路側の「ブルルル」「ガタンゴトン」が、窓を閉めていても耳に障ります。

もちろん、日々生活して行く上でそのような音に慣れていく方も多いとは思いますが、更に言えば、外から中に聞こえる音だけではなく、中から外へ届けてしまう音もあります。お子さんがいらっしゃる方はよくご存知の通り、「ドンドン」「コンコン」「ガッシャーン」の発生源に自分もなるわけです。

そうした音に神経をすり減らすより、多少コストをかけて、『生活音対策』をしてみるのはいかがでしょうか。
リノベーションでできる対策は、「床」「壁」「窓」の3つかなと思います。

床の防音

生活音を低減させるために、床でできることは、「防音材を敷く」「二重床にする」ことが挙げられます。
ドラムを叩いたり、歌ったり踊ったりしない場合は別ですが、廊下やリビングでの足音程度であれば、防音材や置き床によって対応できると思います。そもそも防音材と二重床って、ご存知ですか?

「防音材」とは、文字通り「音を防ぐ材料」です。遮音材や吸音シートなんかがあります。この写真にような材料を床に敷くことで音を吸収して、下の階に伝わらないようにします。

ふわふわ。

「二重床」とは、文字通り「床の上に置く床」です。もともとの床に対して、防振ゴムのついた脚でその上の床を支えるものです。現在の多くのマンションには採用されていますが、古い物件の場合は、リノベーションする際の一つの選択肢になります。

どんな素材や工法を採用するかで、メリットデメリットが変わってきますが、一般的には、「防音材」を用いた床のリノベーションは、二重床に比べコストが高く、二重床を新たに作る場合は、結果的に天井高が下がるというデメリットがあります。

壁の防音

壁の防音も、床の防音と似たように、「防音材」を用いるケースが多いです。また、後ほどお話しますが、「ピアノなどの楽器を演奏する音をどうにかしたい」(パンクロックはその最たる例でしょう)場合には、生活音を抑えるための防音材では防ぎきれません。できるだけ隣人の家の壁と接していない部屋を楽器を使用する部屋と限定して、マトリョーシカのように一回り小さい部屋を作り、二つの部屋の間を高密度・高質量の建材で埋めていく必要があります。それを徹底的に極めると「防音室」なるものができます。

窓の防音

マンションのリノベーションの場合、窓は「共用部」という扱いであり、好き勝手に変更したりできない場合が多いです。そのため、外からの騒音が気になる場合には、「二重サッシ」を取り付けます。

二重サッシ

もともとの窓には手を加えず、新たに窓のサッシを作り、外部からの音を低減します。床や壁にも共通しますが、音は、空気の振動です。同じように、部屋の温度も空気を伝わります。ですから、生活音対策をすることで、自然と防寒対策にも繋がったりします。

防音は、奥深いのだ

メガネがダンディーなM氏

「防音は、奥深くて面白い。」

そう語るのは、これまでオペラ歌手やオーボエ奏者の自宅の空間デザイン経験のあるM氏だ。カラオケルームやスタジオに通っている読者がほとんどだと思うが、みなさんが体感しているように、『音を完全に0にすることは、不可能』。つまり、『それぞれの顧客が許容できる範囲まで音を小さくできるか』が焦点になってくる。

先ほどの言葉に続けて、M氏は、「コスト面などの折り合いをつけながらも、可能な限り純度100を目指す。見えないところの処理をいかに完璧にできるのかがキーポイントだ。」と述べた。オペラ歌手の声量は半端ではなく、その音量を「あ、となりでテレビつけっぱなしだな」くらいに処理しないといけない。こうした防音室を作るには、空間の中に、さらに空間を作り、空間の隙間を超高密度で埋める。音は、空気と物質を振動させ伝わるので、部屋を形作る建材と建材が接している”ほんの数センチ”でも音は漏れ伝わる。こうした材料と材料のつなぎ目一つ一つを徹底的に潰していく。それが、先にM氏が述べた見えないところの処理を完璧にする、ということだ。

最後に、M氏は以下のように述べた。
「音響・防音と断熱って、ジャンルとしては異なるもの。でも、空間を仕上げる一つの仕事として、空間の隙間を徹底的に埋め、目に見えない建材と建材のつなぎ目までにこだわる。そうした姿勢や、配慮は一緒なんだよね。」

顧客の思い描く理想を実現するため、純度100を目指す。M氏の挑戦は続く。

おわりに

ラジオネーム「パンクロッカー太郎」さん、いかがだったでしょうか。防音室の奥深さ、少しはご理解いただけたでしょうか。あと、街コン後の進展についてメールお待ちしております。

それでは今週はこの曲でお別れです。サイレンス陽子で、生活音。次回もお楽しみに。

(※文中の歌手・曲名は実在の人物などとは関係ありません)


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